重症複合免疫不全症（SCID）とは？
重症複合免疫不全症（SCID）は、以下の特徴を持っています。
- 重症複合免疫不全症(SCID)は、Tリンパ球*がうまれつきできないため、抗体*をつくることもできず、あらゆる病原体**に感染しやすくなる病気です。
- 生まれてから最初の感染症が、命に関わるものになることも多いです。
- 感染症の予防をしない場合、次のような感染症にかかります。
- 体重の増えがわるくなるような重症の下痢：ノロウイルス、ロタウイルス（生ワクチンによるものを含む）、アデノウイルス、エンテロウイルス、などによる
- 息が苦しくなるような肺炎：母乳から感染するサイトメガロウイルスや、RSウイルス、新型も含むコロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルスなどの呼吸器ウイルス、空気中に飛ぶニューモシスチス（カリニ原虫と呼ばれてました）やアスペルギルス（カビの一種）などによる
- 結核菌の仲間によるリンパ節炎、骨髄炎、髄膜炎、敗血症（非結核性抗酸菌、生ワクチンのBCGによるものも含む）
- 他の生ワクチンによる感染症：はしか（麻疹）ワクチンによる麻疹罹患（肺炎を含む）、3日ばしか（風疹）ワクチンによる発熱、全身性肉芽腫、おたふくかぜ（ムンプス、流行性耳下腺炎）、
- 感染症にかかる前に、根治療法***をうければ、90％以上助かります。
*Tリンパ球：他の細胞に指令を出すヘルパーT細胞（細胞表面にCD4タンパクがでているもの）とウイルス感染細胞をキラーT細胞（細胞表面にCD8タンパクがでているもの）があります。
**抗体：ウイルスを中和したり、ばいきんをたべやすくするタンパク
**病原体：ウイルス、ばいきん（細菌）、かび（真菌）、寄生虫があります。いろいろな免疫不全症のなかでも、一番重症なタイプです。
***根治療法：臍帯血移植、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、遺伝子治療、があります。
